アト秒レーザーパルスによる原子内電子の観測と制御



"より速い自然現象の理解と制御"を目指して短パルスレーザーの開発とその 応用研究が盛んに行われています.今世紀に入り,パルス幅はフェムト (10-15)秒領域を超え,アト(10-18)秒領域へ突入 しました. アト秒は原子内電子の軌道周期の典型的な時間スケール (水素原子内の電子の周期は150アト秒)であり, アト秒パルスの登場は,原子や分子内の電子状態の実時間領域で観測, さらには電子状態の制御への可能性が開けたことを意味します.このような 超短パルスを用いた子・分子内電子の超高速過程に関する研究を行っています.

現在,多電子相関の強い系である多電子励起状態,特に最も基本的な 2電子原励起状態について分析を進めています. 相関の強い2電子励起状態では,2つの電子は核の反対側にほぼ等距離にある 配置が安定であり,その安定点の近傍の振動と全体の回転として系の運動が記述され, X-Y-X 型の直線型3原子分子の振動回転モードと対応することが知られています (下図).このような集団運動モードをアト秒レーザーを用いたポンプ-プローブ法 によって実際に観測する「実時間での電子相関のイメージング」 (LINK) について 研究をすすめています.

molmodes.png
超球座標での2電子励起状態の電子密度(上中段)と それらに対応する古典的運動(下段).

トップページへ



Toru Morishita,UEC