先進理工学専攻 集中講義 2022
鈴木正 先生(埼玉医科大学医学部)
Advanced Engineering Physics,
FY2023
シラバス
履修登録
日程
8月28日(月)2限〜4限
8月29日(火)2限〜4限
8月30日(水)2現〜4限
8月31日(木)2限〜4限
9月 1日(金)2限〜4限
場所:東4−222
授業
内容
<主題>
量子多体系を時間的に制御して計算や実験を行う技術が急速に発展しており、社会的にも大きな関心を集めています。本講義では、前半に量子相転移の
ダイナミクス、後半に量子計算の一種である量子アニーリングに関する基礎理論を取り上げます。解析的・数値的な研究手法についても紹介します。量
子力学や統計力学が最先端の量子計算技術にどのようにつながるかを理解することが本講義の目標です。
Techniques of computation and experiment by temporally controlling a
quantum many-body system is developing and attracts an intense
interest not only in physics community but also in society. The
present lecture will focus on the basic theory on the dynamics of
quantum phase transitions and quantum annealing as a quantum
computing. Some analytical and numerical methods will be explained
as well. The aim of the lecture is to understand how the
cutting-edge quantum computing technology is brought from quantum
mechanics and statistical mechanics.
<内容>
第一回 熱的相転移と量子相転移
第二回 スケーリング理論
第三回 1次元横磁場イジング模型とジョルダン・ウィグナーのフェルミオン化
第四回 ランダウ・ツェナー問題
第五回 一様な1次元横磁場イジング模型の量子相転移をまたぐ時間発展
第六回 一様な1次元横磁場イジング模型の量子相転移をまたぐ時間発展(続き)
第七回 キッブル・ズーレック機構
第八回 シミュレーティッドアニーリングと量子アニーリング
第九回 量子モンテカルロ法
第十回 量子断熱定理
第十一回 乱れのある1次元横磁場イジング模型の量子アニーリング
第十二回 量子相転移と量子アニーリング
第十三回 不連続量子相転移の回避
第十四回 量子アニーリングマシン
第十五回 量子アニーリングにおける環境の影響
1. Thermal phase transitions and quantum phase transitions
2. Scaling theory
3. One-dimensional transverse Ising model and Jordan-Wigner fermion
4. Landau-Zener problem
5. Time evolution across a quantum phase transition in the uniform
one-dimensional transverse Ising model
6. Time evolution across a quantum phase transition in the uniform
one-dimensional transverse Ising model (continued)
7. Kibble-Zurek mechanism
8. Simulated annealing and quantum annealing
9. Quantum Monte Carlo
10. Quantum adiabatic theorem
11. Quantum annealing of a disordered one-dimensional transverse
Ising model
12. Quantum phase transitions and quantum annealing
13. Avoidance of a discontinuous quantum phase transition
14. Quantum annealing machine
15. Effect of environment in quantum annealing
物理工学セミナー
日時:9月1日(金)16:15〜
場所:東4−222
講師:鈴木 正 先生 (埼玉医科大学医学部)
題目:熱的環境中の量子アニーリングの理論とシミュレーション
量子アニーリングは近い将来に実用可能となりうる、最適化問題を解くための量子計算法の一つとして現在広く注目されている。量子アニーリングを現
実の系で実行する場合、熱浴などの環境の影響を避けて通ることはできない。現在最先端の実験機であるD-Waveマシンでも、よほどアニーリング
時間を短くしない限り、アウトプットは熱浴の影響を強く受けたものになる。理論的には、アニーリング時間が十分に長いと、熱的環境中の量子アニー
リングは準静的等温過程とみなせる。しかし、有限時間を考えると、準静的過程からのずれが生じる。本講演では、超伝導磁束量子において妥当
と考えられる熱浴の模型を仮定し、準静的過程からのずれに関する摂動論に基づいた理論とシミュレーションによる検証について紹介する。
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